「湘南新宿ライン」と「上野東京ライン」について

何かとよく聞く
湘南新宿ラインと上野東京ライン
何がどう違うのか





湘南新宿ライン・上野東京ラインは
どこを走っているのか

何かと耳にする「湘南新宿ライン」と「上野東京ライン」。端的に言えば、湘南新宿ラインは「新宿」に行く列車、上野東京ラインは「上野」と「東京」に行く列車です。

群馬県・前橋から静岡県・沼津までは約240キロほどあります。宇都宮は栃木県、高萩は茨城県、成田は千葉県、逗子は神奈川県にあり、その営業区間の広大さが分かります。

湘南新宿ライン・上野東京ライン
とは何か

  • 経由する駅を分かりやすくしている
  • 系統名であり愛称名であり路線名
  • 日中の大半は「湘南新宿or上野東京ライン」
  • 行先だけではよく分からない

    首都圏のJR線の中には、途中で分かれたと思ったら再び同じ線路に合流する路線があります。真ん中に大きな石のある小川みたいな感じです。

    そのため、同じ行先なのに違う駅を経由する列車があります。例えば、上の写真はどちらも「東海道線直通・平塚行」です。同じ「平塚行」なのに新宿を通る列車と通らない列車があります。そのままではとても分かりづらいので、途中の経由地を示す必要があります。

    その経由地を教えてくれるのが「湘南新宿ライン」と「上野東京ライン」という名前なのです。


  • 独特な立ち位置の〇〇ライン

    「湘南新宿ライン」「上野東京ライン」はあくまで経由地を区別するためにあって、正式な「路線名」ではありません。
    例えば、何かの案内に「最寄り駅は横須賀線・湘南新宿ライン 鎌倉駅」と書かれていても、実際には同じ線路を走っているので、ホームは一つだけです。しかし、浦和駅や赤羽駅ではそれぞれ線路とホームが別にあるので、実質別の路線です。

    他にも、履歴書や自己紹介で「最寄り駅・湘南新宿ライン 藤沢駅」みたいに書くのは、ちょっと変です。オフィシャルな文書では「東海道線」と書くのが一般的です。しかし、「藤沢から新宿まで湘南新宿ラインで通勤している」みたいな言い方は全然アリです。ややこしいです。

    「愛称」と言えば、ほとんどの場合は親しみを持ってもらうためにつけるパターンです。例えば、「陸羽東線(奥の細道湯けむりライン)」「東武野田線(東武アーバンパークライン)」みたいな感じです。しかし、湘南新宿ラインには別の言い方がないので、実質路線名のように使われることが多いです。

    強いていうなら「系統」という表現が適しているかもしれません。バスを利用する方ならイメージしやすいと思いますが、同じ行先でも経由地がいくつも分かれるパターンがあります。「大阪駅前行(四ツ橋経由)」みたいな感じです。バスだと「8系統」みたいな無機質な番号がほとんどですが、それにきちんと名前を付けたのが湘南新宿ライン・上野東京ラインと言ってよいでしょう。「でもそれって路線名と何が違うのか」と言われると、議論は振り出しに戻ります。


  • 〇〇ライン祭り

    「新宿や東京に行く電車なんて山ほどあるのでは」と思うかもしれません。実際その通りで、高崎線の熊谷駅なのに日中やって来る列車は「上野東京ライン・熱海行」や「湘南新宿ライン・小田原行」ばかりです。

関わる路線と場所を知ろう

  • 湘南新宿ラインに関わるのは6路線
  • 上野東京ラインに関わるのは路線
  • 大まかに方向が分かっていればOK
  • 湘南新宿ラインに関わるのは6路線

    湘南新宿ラインに関わる路線は6つ。

     ・東海道線
     ・横須賀線
     ・宇都宮線
     ・高崎線
     ・上越線
     ・両毛線

    多く見えますが、パターンは2つです。

    ●東海道線 ⇄ 高崎線 (上越・両毛線)
    ●横須賀線 ⇄ 宇都宮線

    赤羽〜横浜間に線がないのは引き忘れたわけではなく、何線とも言い難い区間だからです。正式には貨物列車用の「貨物線」を通っていますが、放送や案内で「貨物線直通」とは言いません。池袋から大崎までは埼京線と同じ線路を走りますが、「埼京線直通」とも言いません。誰のものでもない、様々な列車が走る特殊な区間です。


  • 上野東京ラインに関わるのは8路線

    上野東京ラインに関わるのは8つ。

     ・東海道線
     ・伊東線
     ・宇都宮線
     ・高崎線
     ・上越線
     ・両毛線
     ・常磐線
     ・成田線

    パターンは3つ。すべての列車が東海道線を通ります。

    ●(伊東線)東海道線 ⇄ 高崎線(上越・両毛線)
    ●(伊東線)東海道線 ⇄ 宇都宮線
    ●     東海道線 ⇄ 常磐線(成田線)


  • 経由地は大まかに分かっていればOK

    路線やパターンを完璧に覚える必要もありません。指標の一つとして大体の経由地を理解しておくと安心です。

    湘南新宿ラインの主な経由地は
    「池袋・新宿・渋谷・大崎」です。

    上野東京ラインの主な経由地は
    「上野・東京・新橋・品川」です。
  • 湘南新宿ラインに関わるのは6路線

    湘南新宿ラインに関わる路線は6つ。

     ・東海道線
     ・横須賀線
     ・宇都宮線
     ・高崎線
     ・上越線
     ・両毛線

    多く見えますが、パターンは2つです。

    ●東海道線 ⇄ 高崎線 (上越・両毛線)
    ●横須賀線 ⇄ 宇都宮線

    赤羽〜横浜間に線がないのは引き忘れたわけではなく、何線とも言い難い区間だからです。正式には貨物列車用の「貨物線」を通っていますが、放送や案内で「貨物線直通」とは言いません。池袋から大崎までは埼京線と同じ線路を走りますが、「埼京線直通」とも言いません。誰のものでもない、様々な列車が走る特殊な区間なのです。


  • 上野東京ラインに関わるのは8路線

    上野東京ラインに関わるのは8つ。

     ・東海道線
     ・伊東線
     ・宇都宮線
     ・高崎線
     ・上越線
     ・両毛線
     ・常磐線
     ・成田線

    パターンは3つ。すべての列車が東海道線を通ります。

    ●(伊東線)東海道線 ⇄ 高崎線
              (上越・両毛線)
    ●(伊東線)東海道線 ⇄ 宇都宮線

    ●    東海道線 ⇄ 常磐線(成田線)


  • 経由地は大まかに分かっていればOK

    路線やパターンを完璧に覚える必要もありません。大事な旅行やイベントの前に致命的なミスを避けるため、指標の一つとして大体の経由地を理解しておくと安心です。

    湘南新宿ラインの主な経由地は
    「池袋・新宿・渋谷・大崎」です。

    上野東京ラインの主な経由地は
    「上野・東京・新橋・品川」です。

これは何線何ライン?

最後にクイズ形式で見ていきましょう。これが分かればもう怖いものはありません。完璧に湘南新宿ライン・上野東京ラインを乗りこなせるはずです。

まずはおさらい。こちらが関係路線図です。

こちらが湘南新宿ライン・上野東京ラインの路線図です。

ここでは、駅の電光掲示板や自動放送などで日常的に使われている名前を「正解」としています。
それでは、これは何線 or 何ラインでしょうか。

正解は「東海道線」です。
東海道線の起点は東京駅、熱海駅も東海道線の駅なので「東海道線」です。夕方から終電の時間帯には、このパターンが多く走っています。「東海道線 普通 東京行」みたいな感じで案内されています。


続いて、こちらはどうでしょうか。

正解は「上野東京ライン」です。
隣の上野駅までわずか1区間伸びただけですが、「上野」と「東京」の両方を通っているので「上野東京ライン」になります。この「上野と東京の両方を通っているか」ということだけで、上野東京ラインは区別することができます。この2駅両方を通ったら、すべて上野東京ラインです。上野の隣「尾久駅」に車庫があるので、上野行は意外とあります。このパターンは朝ラッシュ帯にかけて多く走っています。

続いてはこちら。

正解は「高崎線・上越線・両毛線」です。
乗る駅や方向によりますが、よく聞くのは「この列車は上越線・両毛線直通、高崎線の前橋行」とか、単に「高崎線直通の上野行」みたいな感じです。上野駅や大宮駅の電光掲示板では「高崎線 前橋」と、簡略して案内されることがほとんどです。いずれにしても、上野東京ラインとは案内されません。このパターンは朝晩の通勤ラッシュ帯・終電帯に多く走っています。


こちらはどうでしょうか。

正解は「上野東京ライン」です。
理由はもうお分かりですね。ダイヤが乱れるとたまに出現します。逆に、上野東京ラインが急遽「上野行」に変更になることもよくあります。すると、単に「高崎線の上野行」に変化します。

続いてはこちら。

正解は「常磐線・成田線」です。
常磐線と成田線の直通運転は、一日を通して行われています。「常磐・成田線」だったり「我孫子・成田行」みたいな案内がされています。以前からよく行われている運用なので、単に「快速 成田行」「普通 上野行」といった簡略案内もよくあります。東京駅には行かないので、上野東京ラインではありません。


次はもう簡単ですね。

正解は「上野東京ライン」です。
常磐線はそもそも新宿方面には行かないので、「上野より先に行く電車かどうか」という意味合いが強いです。また、常磐線・成田線からの列車はすべて品川止まりになっています。一日を通してよく見るパターンです。ちなみに、東京から成田までは「総武線」でも行くことができ、所要時間もそちらの方が短いです。
これで上野東京ラインは完璧です。


それでは、こちらはどうでしょうか。

正解は「湘南新宿ライン」です。
上野と東京を通らず、新宿を経由しています。「宇都宮行」や「大船行」の列車は、上野東京ラインにもたくさんありますから、経由地をしっかり確かめましょう。ちなみに、通常の湘南新宿ラインに「新宿行」はなく、東京都の外まで走り抜くのが基本です。一日を通して直通運転をしています。


ラストスパートです。

正解は「湘南新宿ライン」です。
「新宿に行ってないじゃないか」と思われるでしょう。しかし、他に何線とも呼びようがないので、新宿まで行かない電車であっても「湘南新宿ライン」と呼ばれることがあります。もちろん通常は、すべての湘南新宿ラインが新宿を通ります。ダイヤ乱れや大規模工事のとき、実際にこのパターンがありました。


最後はこちら。

正解は「湘南新宿ライン」です。
「新宿も湘南も行ってないじゃないか」と思われるでしょう。こちらもダイヤ乱れや大規模工事の際、実際にあった例です。上野東京ラインと違い、「どこまで運転したら湘南新宿ラインになるのか」という定義が難しいのが特徴です。池袋か大崎まで運転したなら「湘南新宿ライン」と呼ばれることが多いです。あくまで上野・東京方面へ行かないことを伝えたいので、名前の役割としては果たしていると言えます。

あまり深く考えないことも大事

以上、湘南新宿ライン・上野東京ラインについてでした。
何となくお分かりいただけたでしょうか。

東京の電車に乗るときは、この「何となく」の精神が意外と大切かもしれません。
例えば、ここまで何度も登場した「宇都宮線」。さも正式な路線名のように書いてきましたか、実はこれも愛称名。正式には「東北本線」です。「高崎線」も大宮〜高崎間のことであって、大宮〜上野間は正式には東北本線です。東北本線であり高崎線であり上野東京ラインであり…と考え出すと、キリがありません。深く考え過ぎないことも時には大切かもしれません。

賢く乗りこなして、東京を謳歌しましょう。



詳しくはJR東日本の
公式サイトをご覧ください。

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東京で暮らす会社員です。
都市や交通について気ままに発信しています。
それなりにリアルかと思います。

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