渋谷の雨はどこに行くのか「②渋谷ヒカリエ~渋谷ストリーム」

渋谷の谷底を探す
雨散歩その②





目次

雨水を追いかけて

16 から 渋谷区

今回の渋谷雨散歩の大体のルートです。
渋谷駅を中心に、ぐるりと時計回りに一周しました。

思い付きで歩き始めましたが、それなりにきれいな円になりました。
のんびり歩いたのでトータルの所要時間は2時間ほどです。

①宮下公園~渋谷ヒカリエ編からの続きです。

いざ大穴の中へ
「渋谷ヒカリエ」

いつの間にか銀座線の上にやってきた筆者。

以前の銀座線は高架を走る姿をはっきりと見ることができ、ビルの中に納まっていく姿がとてもかっこよかったです。
現在は全体がドームで覆われ、地上に出た銀座線はほとんど見ることが出来なくなってしまいました。
その分、リニューアルされたホームはスタイリッシュで現代的な姿へと変貌を遂げました。改札に入らずともホームの様子が見えるので、銀座線に乗らないときでもつい覗いてしまいます。

首都高速側を望みます。
いくつもの階層に分かれ、縦横無尽に人と車が行き交う姿は、まさに未来都市。

ヒカリエには大穴があります。
はるか地下深くまで一望することができ、まさにダンジョンです。

地上階まで降りてきました。

渋谷ヒカリエは2012年に開業しました。もう10年以上も経ったのかと思ってしまいますが、付近の建物に比べるとまだまだ新しい施設です。
そんなヒカリエにも「坂」は健在。まだまだ雨水は流れていきます。

筆者はそのまま大穴を下ります。
下りきったと思ったら、今度は横穴が。渋谷の奥はまだまだ深い。

うごめく「渋谷駅」


横穴を進んできました。
すでに地下深くなのに、吹き抜けのような空間が。階層はさらに下へと続いています。

下を覗くと、勢いよく電車が滑り込んでくるのが見えます。
東急東横線と東京メトロ副都心線の境目である渋谷駅。地下深くに、大量の電車と人がやってきます。

開けた空間が見えてきました。
ずっと地下にいると自分のいる位置が分からなくなってきます。

ちょうど地図があったので確認してみます。
もしも地上が透けて見えたなら、たくさんのバスと大きなスクランブルスクエアが見えることでしょう。

辺り一面をコンクリートや人工物で囲まれた中、カフェでは多くの人が談笑しながらゆっくりとした時間を過ごしています。
都市らしい空間と雰囲気がいい感じ。

改めて、空間を観察してみます。よく見てみると、わざわざ階段とエスカレータを設けて、潜るように何かを避ける構造になっています。
しかし、線路はさっき越えてきたばかり。地下には半蔵門線の線路も通っていますが、地図で見ると少しズレたところにあります。

写真左手を見ると、緩やかに曲線を描いて壁の中へと消えていきます。
その正体はいかに。確かめに行くことにしました。

何かの正体

方角たけを頼りにやってきました。
たどり着いたエスカレータを昇ると、一気に地上へと出ました。改めてその深さが分かります。東横線や副都心線はさらに下を走っています。

気が付けば「渋谷ストリーム」周辺まで来ています。地上はまだ雨。
地下では雨水を一滴たりとも見ることはありませんでした。あれだけ穴が開いていたらどこかしら入り込んできそうなものですが、そうはならないのが技術の力です。いつもなら考えもしませんが、こうして水を追いかけていると当たり前のことではないのだと、感謝の気持ちが芽生えてきます。

さて、結局雨水はどこへ行くのやら。
すると、橋らしき何かを発見。「稲荷橋」とあります。いで立ちは完全に橋そのものですが、周りはコンクリートやアスファルトだけ。反対側も地続きになっており、いわば橋が「埋まっている」ような状態です。珍しいものを見ました。

すると、初めは雨音で気が付きませんでしたが、よく耳を澄ますとザーザーとした音が……。
そもそも、橋とは何か。どこに架けるものか。

なんと、川がありました。

「渋谷川」です。
暗渠になってしまったと聞いていたので地上で見られる場所はないものとばかり思っていましたが、こんな形で残っているとは知りませんでした。

現在位置です。
地図の向きが変わっていて分かりづらいですが、左下が謎の構造物を見た地下広場です。その正体はこの渋谷川だったんですね。

なお、開発に伴い地下で見た「渋谷川」は2009年に下水道扱いになったそうです。そのため、埋まっている「稲荷橋」が渋谷川の起点となっているとのこと。下水道から河川に変わるのは、少し不思議な感じです。

渋谷川周辺は「渋谷リバーストリート」として、多くの人々が集まっています。

渋谷リバ-ストリ-ト
渋谷リバ-ストリ-ト [川の流れとともに広がる、新しい渋谷のオアシス]渋谷駅南エリアのゲートとなる2つの広場と、渋谷川沿いの遊歩道。駅直結の立地と規模、賑わいを活かし、様々な用途に対応...

渋谷に降り注ぎ、坂を下った雨水は巡り巡って、渋谷川に注いでいました。
渋谷の谷底は、ここにありました。

下記の東京都建設局のサイトに、渋谷川について詳しい情報が掲載されています。
とても興味深いのでぜひご覧になってみてください。

あわせて読みたい
渋谷川・古川流域 渋谷川・古川流域

また、見てきたように渋谷川の下には多くの施設ができています。水害対策のため、その地下には巨大な貯水施設があるそうです。一度見てみたいですね。詳しくは下記資料をご覧ください。
『2020年8月19日 東急株式会社 独立行政法人都市再生機構「渋谷駅東口雨水貯留施設の整備が完了します!」』


上り坂を求めて

雨水を追いかけ、渋谷の谷にたどり着いた筆者。
せっかくなので、本当に渋谷川に向かって谷になっているか確かめてみることにしました。

右手が渋谷ヒカリエ、左手が渋谷スクランブルスクエア、中央に見えるのが二つをつなぐ歩道橋です。見づらいですが、歩道橋後ろのドームが、銀座線の渋谷駅です。スクランブルスクエアの下に渋谷川が流れていますが、この写真を見ても左に向かって坂になっているのが分かります。

地下の階層もさることながら、地上の階層もなかなか。
上が首都高です。もしもこの下が透けて見えたなら、たくさんの人と電車、そして流れる水が見えることでしょう。

渋谷ストリームにやってきました。
ご存じの方も多いと思いますが、以前はここが東急東横線のホームでした。現在は、先程見た地下深くに潜っています。

いつも3番線の電車に乗って帰っていた、という方もまだたくさんいらっしゃるでしょう。

目まぐるしく変化を遂げつつ、良いものは残す。多くの人が訪れ、愛されている渋谷を体現しているようで、とても好きな空間です。
また今度、じっくり観察してみようと思います。

そのままストリームを突き抜け、また渋谷川にやってきました。
ここまでは渋谷の東側を進んできましたから、川を越えて西側に行けば、今度は上り坂になっているはずです。

そのためにはまず、JRの線路を越えなければなりません。
……何だか私の知っている渋谷駅ではないですね。

ここまでのルート

③渋谷ストリーム~宮下公園編に続きます。


現在の新南口はまもなく見納めです

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東京で暮らす会社員です。
都市や交通について気ままに発信しています。
それなりにリアルかと思います。

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