筆者のスペック
- 上京は社会人になってから
- 出身は田舎
- 電車のお出かけは一大イベント
東京はどこでも電車で行けて便利ですね。一方で、物の数が増えるほど複雑怪奇になってくるもの。筆者は関東近郊の田舎出身です。全く電車がないわけではありませんが、電車に乗るためにまずは駅まで車を使わなければならないくらいの田舎です。
小学生の頃には「電車の乗り方」の授業があって、中学生の修学旅行のときは「新幹線の乗り方訓練」がありました。体育館を車内に見立てて、入口から黙々と入り込み、パイプイスに座るというものです。「そんなんじゃ新幹線は発車してしまいますよ」と、怒鳴られたものでした。それくらい、電車に乗ることは「一大イベント」な場所出身なので、電車に馴染みのない方にも少しは寄り添えるかと思います。
まずは電車に乗る前に
- 「Suica」か「PASMO」を持っておく
- 駅の券売機か窓口で買える
- ICカードは実質タダ
事情がない限りは、「Suica」や「PASMO」のようなICカードを持ちましょう。「TOICA」や「ICOCA」といった、地元のICカードを持っているならば、それで十分です。日本のICカードの歴史はSuicaから始まっているので、大抵の交通系ICカードは使えます。
- なぜICカードを持っていた方が良いのか
いちいち切符を買わなくてよいことが最大のメリットです。残高が少なくなったらコンビニでもチャージできます。運賃を考える必要がないことも大きなメリット。東京の電車は、会社をまたぐ直通運転をしていない方が少ないです。正直、東京に住んでいても切符だったらどこまでいくら買えば良いかよく分からないです。 - どこで買えるのか
駅の券売機で、1分もかからずに手に入れることができます。ちなみに「Suica」はJR、「PASMO」はJR以外の私鉄や地下鉄が発売しています。定期券等でなければ機能は全く一緒なので、どちらを買っても問題ありません。 - いくらかかるのか
カードを買うのがもったいない、という人がたまにいますが、カード代は実質タダなので持つことを薦めます。確かに手に入れる際は500円の「デポジット」の支払いが必要です。しかし、窓口でカードを返却すればお金は返ってきます。硬貨を入れると鍵が閉まって、鍵を挿せば戻ってくるコインロッカーのようなものです。
「駅名」と「路線名」を
セットで確認しよう
- 似たような名前の駅がたくさんある
- 同じ名前の駅でも全然離れている
- 似たような駅名に注意
- ケアレスミスを防ごう
「青海」と「青梅」は有名な例ですが、「目黒」と「中目黒」は全然離れていますし(歩いたら30分くらい)、「新宿」と「西武新宿」も待ち合わせに遅刻するくらいは離れています(距離は300mくらいですが、人多すぎてなかなか進めない)。いずれも、路線名をプラスするだけで防げるミスです。「ゆりかもめの青海駅」と「JR青梅線の青梅駅」と言えば、ずいぶん印象が違います。 - 駅名は合っているのにたどり着かない
渋谷駅の改札にいる、と言ったら「何線の?」と返ってくるでしょう。同じ駅名でも路線ごとに乗り場や出入口が離れていることはよくあります。駅名に間違いがなくとも、路線名の確認を怠らないようにしましょう。
- 銀座線の東銀座駅に集合?
全く違和感がありませんが、銀座線は東銀座駅を通りません(東銀座駅という駅はある)。しかし筆者もそう言われたら「ああ分かりました」と言ってしまいます。事前に駅名と併せて路線名も再確認しておくと安心です。
乗る前に入口を確かめよう
- 同じ駅でも会社ごとに入口が分かれている
- 一度入ったら基本自力では引き返せない
何を当たり前のことを、と思ったあなたは旅行先で苦労する人かもしれません。私の地元の駅では、JR線以外の鉄道に乗るときも、一度JRの改札を通らなければなりませんでした。ドイツやスイスといった欧州の鉄道はそもそも改札がない方が一般的です。山手線だからJR、浅草線だから都営地下鉄の改札を通る、と瞬時に判断できる東京の人はすごいと思います。
- 路線名を確認して改札を通ろう
どんな改札にも「JR・吉祥寺駅」「京王井の頭線・吉祥寺駅」のように、大きく鉄道会社か路線名が書かれています。最近は「JC」や「IN」のようにナンバリングされているので、それも参考にしましょう。特に地下鉄は「地下鉄有楽町線」「都営地下鉄新宿線」のように案内されている場合があります。基本的に「地下鉄=東京メトロ」です。都営地下鉄とは全く異なる鉄道ですので、注意しましょう。 - どこかで通り抜けられると思わない
基本的に会社ごとに設備は独立しています。たとえ繋がっていたとしても、電車に乗らずタダで駅の中を通り抜けることは基本的にできません。間違えて入ってしまったら、潔く入った改札に戻りましょう。
「路線名」「行先」「発車時刻」が
揃ったら電車に乗ろう
- 「〇〇ライン」「〇〇線直通」系は要注意
- 同じ行き先でも経由する駅が違う
- 車両の色は当てにならない
同じホームから行き先が分かれるのはよくある話。しかし、同じ行き先なのに経由する駅が違うことあります。
- とにかく路線名を再確認しよう
例えば、大宮から横浜に向かうとき「湘南新宿ライン」と「上野東京ライン」の「平塚行き」が来たら、どちらに乗っても横浜にたどり着けます。しかし、横浜より手前の品川に行きたいときには、上野東京ラインに乗らなければなりません。
中野から西船橋に行きたいときも、「JR中央・総武線」経由と「地下鉄東西線」経由があります。どちらも同じホームに「西船橋行き」の電車が来ます。この場合、JR線経由か地下鉄経由かで、買う切符も支払う運賃も異なるので注意が必要です。 - 行き先の前に前置きがあったら要注意
「〇〇ライン」や「〇〇線直通」といった前置きがある場合は、複数の経由地や枝分かれがあると思ってまず間違いありません。行先だけを当てにせず、必ず路線名も確かめましょう。例えば、池袋駅では「湘南新宿ライン・東海道線直通」「湘南新宿ライン・横須賀線直通」「りんかい線直通」「相鉄線直通」「埼京線」が全て同じホームから発車します。ホームにたどり着いても、まだ安心できません。 - 車両のラインカラーは当てにしない
「丸い緑の山手線」くらい分かりやすければ良いのですが、ラインカラーと全然違う電車が来る路線も多くあります。正直、電車の色や見た目はあまり気にしなくても大丈夫です。湘南新宿ラインの例に至っては、上野東京ラインと色も見た目も全く同じ電車が来ます。一目で判別することはまず不可能なので、「路線名・行き先・発車時刻」を必ずセットで確認しましょう。
「本当に出口か」確かめよう
- 乗り換え専用の改札に注意
- 雰囲気に流されない
- 乗り換え専用改札は後戻りできない
出口を通ったつもりが、他の路線への乗り換え専用改札だったことはよくある話です。ひどいときには、違う名前の駅に入ったりしています。
- 出ようとしている改札の名前をよく確認しよう
大抵は「出口ではありません」や「乗り換え専用です」と大きく書いてくれていますが、「〇〇線のりば」や「〇〇線連絡口」という表現も多いです。もう電車に乗るつもりがないときは、他の路線名が書かれている改札に十分注意しましょう。 - 流れに身を任せない
通勤ラッシュ時間帯は、人の流れが速く流されがちです。流れに逆らってでも、不安な時は一度立ち止まりましょう。「出口っぽい」雰囲気も要注意です。例えば、京急線の品川駅は外に出る出口よりも、JR線との乗り換え改札の方が、倍以上大きくて出口っぽいです。たくさん人が通る改札が出口とは限りません。 - 乗換改札を間違えて通ると面倒
乗換改札は二つの会社を跨いで存在しているため、事態は面倒になります。要は一度通った改札を後戻りすることはできず、別の出口へ向かうことになります。特に大きな駅では、予定のルートから大きく逸れることになりかねないので、改札を通る際には注意しましょう。
地下鉄は「階段の番号」まで調べよう
- 地下鉄には階段にも名前がある
- 最寄りの階段番号は必ず把握しよう
- とりあえず外に出ない
改札を出たら、今度は外に出るための出口です。駅名までは調べても、地上への階段番号まで調べている人は少ないのではないでしょうか。
- 階段の番号を確認しよう
例えば、地下鉄大手町駅は「A~D」まで階段番号があり、更に「A1・A2」のように細分化されています。Cに至っては「C13b」まであります。地下に潜って方向感覚がリセットされた後は、特に迷いがち。 - 階段番号が書いていない時は必ず確認しよう
目的地のアクセスに「大手町駅より徒歩5分」しか書いていない時はかなり危険。地図で必ず確かめましょう。最低でも「なんとなく近そうなA1の階段を使おう」くらいは事前に決めておくと安心です。
- 「とりあえず外に出よう」が一番危ない
出口階段がそのままオフィスビルに繋がっていたり、交差点の四隅すべてに出口があることも多いです。特徴の少ない路地に出たり、方角が分からなくなったり。「とりあえず外に出よう」は地下鉄ではやめた方が良いです。時間がかかっても、目的地に一番近い階段番号を探して出るようにした方が安心です。
次に迷わないために
- 前回の経験は忘れよう
- 行きの道が帰りにあるとは限らない
- 備えることは恥ずかしいことじゃない
新宿駅に東西自由通路が出来て、本当に便利になりました。ようやく落ち着きを見せそうですが、それまでは行くたびに通路が変わっていて、通勤で使っていても戸惑いました。
- 前回の経験を当てにしない
駅や線路は日々改良が行われています。毎月のようにどこかで通路やホームの場所が変わっています。「前に乗ったことある電車だから」といって、油断は禁物です。 - 駅の一方通行
工事やリニューアルではなく、日常的に時間によって通れなくなる通路もあります。「利用時間・始発〜15:00」のように書かれている改札をたまに見かけます。「代わりに〇〇改札をご利用ください」と書かれているので、案内に従いましょう。 - 何度でも調べて備えよう
どんなものでも、流れるようにこなした方がかっこよく見えます。立ち止まって調べたくないこともあるでしょう。しかし、間違えたり迷ってしまっては元も子もありません。分からなければ、動く前にその場ですぐに調べましょう。何も恥ずかしくありません。東京に何年住んでいたって、使わない駅に行くときは、何度も調べます。
その他東京の電車で思うこと
- 駅をひとつにまとめたがる
- まっすぐ進まない
- 道を聞ける人はあまりいない
優れた鉄道網は日本中に敷かれていますが、各都市ごとに特徴があって興味深いものです。
- 通路でつながっていれば同じ駅
ディズニーランドに行ったことがある人は分かると思いますが、東京駅のJR京葉線ホームは他の都市なら「南東京駅」か「東有楽町駅」と名前が付きそうな距離感です。東京は多少距離が離れていようと、一つの駅名にまとめがちです。ですから、「東〇〇駅」や「西〇〇駅」は歩く距離ではないと思った方がいいでしょう。
「中野と東中野」「荻窪と西荻窪」などは一見近そうですが、歩くと30分近くかかります。「梅田と東梅田」のように歩ける都市も多いので、普段鉄道に乗り慣れている方も要注意です。 - 実際の線路は直線ではないことが多い
駅や車内にある路線図はとても見やすく案内されています。一方で、実際の線路は路線図のように一直線ではありません。地図で見てみると分かりますが、突然90°に曲がったり、かと思ったら180°向きを変えたりします。そのため、街の位置関係が分かっている人ほど、丸ノ内線の「←新宿方面/池袋方面→」の案内には混乱すると思います。
- 意外と無人改札・無人駅が多い
「分からなかったら人に聞けばいいよ」と言われているかもしれません。確かに東京は人はたくさんいますが、駅員さんがいない改札が意外と多いです。そもそも紙の切符を買う人が少なかったり自動化が進んでいるために、無人改札あるいは無人駅もあります。気軽に道を聞ける人は意外と少ないです。
役立つ道しるべ
- のりば系の案内は「白」
- 出口系の案内は「黄色」
- 駅の地図は「見ている方向が上」
駅の中には案内サインが至る所に設置されています。仕様の違いはあれど、基本的な色使いや言葉遣いは統一されていて、分かりやすいように工夫されています。
- のりばに関する案内はだいたい白い
設備が更新されていない駅もあるので一概には言えませんが、のりばに関する案内は背景色が白に統一されています。 - 出口に関する案内はだいたい黄色い
出口に関する案内は背景が黄色に統一されています。改札口や周辺の施設が案内されているので、参考にしてみましょう。 - 地図は回さない
駅に置かれている周辺地図は、見ている方向に合わせているものが増えてきています。地図といえば「北が上」のイメージの人も多いかもしれませんが(筆者的にはその方が理解しやすい)、瞬時に方角と進むべき方向が分かるように工夫されています。
以上、東京の電車で迷わないためのコツとポイントでした。使いこなしていきましょう!