【エッセイ65】視線とおしゃれ




上京してから、服装に気を遣うようになりました(おしゃれになったとは言ってない)。


事あるごとに書いていますが、筆者が生まれ育った地元では、ショップやブランドの選択肢はほとんどありませんでした。路面店と言えばユニクロくらいなもので、後はイオンがこの世のすべてです。友人と服が被ったことも何度かあります。

恵まれていないように思えますが、悪いことばかりではありません。まず、近所を歩くには気が楽です。部屋着のまま歩いたり、コンビニやスーパーに行っても平気でした。周りの人も、皆同じだったからです。

飲食店にしても、「常連しか行けない入りづらさ」みたいなのはありましたが「中にいる人がおしゃれすぎて入りづらい」みたいなのはありませんでした。

もちろん、限られた環境でも工夫したり、遠くまで買い物に出かけたりして、おしゃれだなと思う人はいました。でも、そういう人はある程度の年齢になると皆上京してしまうので、地元の雰囲気が変わることはありません。

だからこそ、東京は感心することばかりです。同年代はもちろん、祖父母と同じ年代の人も、皆おしゃれです(筆者基準)。そんな街の様子を見て、「せめてシャツだけは着替えていこう」とか「帽子だけでも被っていこう」とか、ほんの少し気を遣うようになりました。

周りの目を気にする生活は、事実狭苦しいのかもしれません。でも、周りに少しでもよく見えるように、「ほんの少し」をこだわるのがおしゃれの原点なのだろうな、と思います。

周りの目を気にする機会が多いからこそ、色使いやレパートリーが広がり、洗練されていくのかもしれません。そういった感性は、人の目が少ない地域では育ちにくいことも、また事実です。


東京の方が上とか優れてるとか、そういう話ではありません。あくまで好みの問題です。自分が着たい服を着て、力を抜いて住める街が一番です。

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東京で暮らす会社員です。
都市や交通について気ままに発信しています。
それなりにリアルかと思います。

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