都心の異空間「新宿住友ビルディング」




新宿にある「新宿住友ビルディング」に行きました。中心部が空洞になっている特徴的なデザインのビルです。テレビや映画にもよく映り込みますし、新宿をよく通る方なら必ず見ているはずです。筆者はこんな立派なオフィスとは縁遠いので、これまで訪れたことがありませんでした。高層ビルはその巨大な外観に目が行きがちですが、新宿住友ビルディングは「三角広場」を始めとした「足元」に、素晴らしい空間が広がっています。

思い描いたような未来空間

 

新宿住友ビルディングは1974年3月に竣工となりました。48年も前のことです。竣工当時は「日本一の高さのビル」かつ「日本で初めて200mを超えたビル」でした。高層ビルが林立する今でもその存在感は健在です。

一面ガラス張りの煌びやかな高層ビルと比べると時代の経過を感じますが、「レトロ」や「時代遅れ感」はありません。最大の特徴は何と言ってもビルが「三角形」であることですが、上空から見下ろしたり中に入ってみないと、あまり三角を実感することはありません。外観は、同じサイズの窓が均等に並んだ「堅実」なデザインです。

「三角広場」は、2020年6月にリニューアルオープンしました。ビルの足元を囲うように巨大なガラス張りの屋根が設けられ、写真で見る以上に開放感と迫力があります。リニューアル前に訪れたことがある方なら、「ビルを間違えたかな」と思うほどでしょう。

響き渡る足音

足を踏み入れてすぐにストリートピアノの音色が聞こえてきました。ただ屋根が掛かっているような印象ですが、実際には完全に密閉されている全天候型の空間です。都会のど真ん中にも関わらず、目の届くところにないピアノの戦慄が聞こえてくるのですから驚きです。「三角広場」という童心に帰ってしまいそうなネーミングですが、その巨大で洗練された空間に踏み入れると、背筋を伸ばさずにはいられません。休日にはイベントや展示会が催されるほか、緊急時には避難スペースとしても活用されるそうです。

「静かな休日の西新宿に賑わいを生む」リニューアルだったわけですが、「巨大な全天候型のスペースを確保する」というのはとても素晴らしいと思います。予算をつけてリニューアルするわけですから、少しでもテナントやショップが多く入るような構成にしたいのが普通でしょう。新宿という立地であれば尚更です。他にはない素晴らしい空間を手に入れた新宿住友ビルディングは、今後も末永く愛されていくことでしょう。

身の回りのほとんどの物には、「更新」や「買い替え」といったタイミングが訪れます。必要な機能、見た目、予算。そのときはベストな選択だと思っても、「こんなはずではなかった」と後悔することも少なくありません。長い目で物事を見る目を養うヒントは、長く愛されているものが教えてくれます。

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東京で暮らす会社員です。
都市や交通について気ままに発信しています。
それなりにリアルかと思います。

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